スウェーデン生活レポート 1

奨学金を頂いている、日本の財団へ、半年に一度、生活の様子を教える生活レポートを提出する。前回書いたのは3月。今はもう次の生活レポートを書く時期に来ているが、前回書いたものをここでもシェアさせていただこう。

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スウェーデン ウプサラ大学(Master’s Programme in Sustainable Development)

                    

首都ストックホルムから電車で北へ1時間ほど行ったところにあるウプサラ市で大学院生生活を始めて早半年。ここでの修士課程は、1年目は授業中心、修論に取り組むのは最後の学期になってからである。同期66人の学生は、20カ国を超える国からの出身、年齢は21〜40代後半まで幅があり、学部時代の学問分野も異なる多様なクラスメートたち。ディスカッションも多く、その議論の中から学ぶことが意図されているようだ。

私たちの代は特に仲がよいらしい。一品持ち寄りのパーティーなどを開けば多様でとても美味しい食事と、にぎやかな雰囲気で盛り上がる。最近は友だちと、色々な日本食を作ってあげるかわりにヨーロッパや他の国の食事を作ってもらう「食文化交換」が日々の中で定着し始めている。食の背景の文化で話に華が咲きつつ、色々な料理法やレシピを身につけたい。

目指せ洋食マスター!

 

スウェーデンと日本の相違点 —欧州から見た日本—

 

幼少期をアメリカで過ごし、かつ学部時代に1年間NY州に交換留学した私は、今回の留学で、住んだことのある国は3カ国目となる。スウェーデンに来て今までに気づいたことは、意外にも多くあるスウェーデンと日本の共通点、そして日本をアメリカとはまた違う角度から眺める視点である。ここに来て驚いたことといえば、物価の高さと、ほぼ誰もが英語ぺらぺらであること。一方で言語の全く分からない国に住むのも初体験。商品のラベルや原材料が読めないため、慣れるまでスーパーに行って帰ってきたらバタンと倒れていた。

 

宗教に無頓着だが、一方で文化にはしっかり染み付いているところは日本とスウェーデンの共通点の一つ。Fika (フィカ)といって、コーヒーとシナモンロールなどのパンやケーキ、パイをほおばって休憩するのはスウェーデン流。外食は高いからなのか、日本の「お茶しよう」の感覚でフィカしよう、と誘われる。

 

中でも日本人とスウェーデン人の一番の共通点は、シャイで、特にアメリカ人と比べると控えめで、また謙虚が善しとされるところだろうか。お酒が入ると対照的にかなりおおらかになるのもまた似ている。冗談でよく言われるのは、スウェーデン人はお酒が入ってクラブで踊っているときでなければ異性に声をかけられない、と。そこまでは言い過ぎとしても、実際にクラブの場でのやりとりをきっかけに付き合い始めたというカップルを何組も知っている。

秋学期の初め頃、スウェーデン人の女の子に「日本ではクラブ文化は一般的でない」と教えると、衝撃を受けた様子で、「じゃあみんなどうやって恋人と出逢うの?!」と聞かれた。

スウェーデンの恋愛風景をよく表した名言だ。

 

丁度その時期The Guardian に掲載された記事が私たちの中で話題を呼んでいた。「18〜34歳の日本人の50〜60%は恋人がおらず、16-24歳の女性の45%が、男性の25%以上が性的な接触に興味がないもしくは嫌がる」という統計を紹介し、日本社会の強いプレッシャー(男性が働き手、女性は専業主婦という価値観など)、家族とキャリアの両立がしづらい日本の労働のシステムなどが理由として挙げられている。

また、同時期にBBCでも「バーチャル彼女を選ぶ日本男性たち」と題し、インタビュービデオ付きで大きく取り上げられていた。強調しておくが、ヨーロッパにおいて日本は一般に、その文化や技術、経済を中心に、尊敬されているという印象だ。寿司はこちらでは一般食で(盛り合わせを頼むと半分以上がサーモンだが)、東京から来たと言うと「いつか行ってみたい街だ」とよく言われる。日本については、アニメなどに限らず、様々な伝統文化や昨今の事情についても、映画やメディアなどを通して、よく知っている人が多い。一方で、先に挙げた二つの記事のように、他の諸国から見たら特異と見られる現象が注目されていることも、こっちに来て気づいたことの一つである。

 

男女平等、環境先進国、そして教育

  男女平等は、スウェーデンらしさの一つである。社会の中でも、教育の中でも強調されてきたのだろう、スウェーデン人は「平等」にとことん敏感だ。もちろん移民の問題などを中心に平等が実現できてないところはたくさんあるのだろうが、それでも「差別」ということにこんなに反応する人たちは今までに見たことがない。世界の中でも、スウェーデンは男女平等がかなり進んでいる国だが、それでも同じ仕事・ポジションでも給与に男女差があるなど、まだ理想には到達していないようだ。一方で、スウェーデンでは共働き家庭がほとんど。日本では待機児童が問題になっているが、こちらではやはりサポート体制が整っているのだろう。

 

ここに来るまで、正直そこまで男女平等について考えたことはなかった。自分は女性だから日々の料理ができなければならないとか、「男性」「女性」像や、型にはまった家庭像に自分自身強く縛られていたし、それによって苦しんでいたと言っても過言ではない。そのことに疑問を持たずに過ごしていた。異なる社会を知らなかったからだろう。日本では、価値観や社会システムから「男性」「女性」のあり方を縛るような社会であり、一方でそれを批判的に捉える動きも薄い。日本ではジェンダーは、社会学を勉強している人しか知らない。ここではもっと一般レベルで、またどの学問分野においてもある程度議論されているだろう。

また、友だちの意識の高さにも驚いた。例えば、友だちが甥っこへのクリスマスプレゼントを選んでいるときの会話。「これはどう?」「いや、このおもちゃは男の子っぽいからダメ」「…男の子に、男の子っぽいおもちゃをあげちゃダメなの?」

 

日本でも近年名前に性別を含まないように様々な職業名が変更されたが(保母→保育士など)、それはそもそも「男らしさ」「女らしさ」を批判的に捉える動きに関係している。近年流行語となっている「女子力」「男子力」などは、スウェーデンにおいてはすぐにバッシングされるだろう。女の子はピンクと花とお人形、男の子は青と車といったステレオタイプを外していくことも、ジェンダーの平等のためには大切な一歩。

また、ジェンダーといえばLGBT(レスビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)についても関連して議論される。日本では、テレビで「おかま」などが人気なのに対し、その立場や人権などが真剣に取り上げられることはほぼないが、スウェーデンは同性結婚を認められている国の一つであり、一般にLGBTの人はかなり受け入れられているようだ。さらには、ウプサラ大学や多くの公共トイレでは、トイレが男女で分かれておらず、家庭のトイレのように一つ一つの個室となっている。スウェーデンの社会システムや意識から学ぶことは多い。

スウェーデンに来て、まだスウェーデン語も身につけてない自分としては、まだまだ吸収できることがいっぱい!環境先進国、福祉国家、平等社会、そして北欧の文化。2年目に向けてしっかり計画を立てていこう、とようやく訪れた春の空に向かって、気を引き締める。

 

 

 

 参考:

新聞記事(The Guardian)

Why have young people in Japan stopped having sex? 2013-10-20

http://www.theguardian.com/world/2013/oct/20/young-people-japan-stopped-having-sex

The Japanese men who prefer virtual girlfriends to sex 2013-10-24

http://www.bbc.com/news/magazine-24614830

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